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ニニ 制作あとがき


お久しぶりの更新になりました。

今回は上の作品「邇々(ニニ)」の制作過程と、普段こんな考えで作ってるよーぐらいの

軽さでざっくり書いていきたいと思います。

 

使用ソフト:AfterEffects

主な使用プラグイン:Element3D、Particular、OpticalFlare、RealGlow、etc...

 

ざっくりなストーリーは

"年に1度、贄として選ばれた少女が巫女として災いを封じてる門を鎮めに行く"風習があり

1年経つと封じる力がなくなり取り込まれ、「次はあなた」と不気味に微笑んで終わるわけです。とっても厨二!

基本的に、まず曲を聴いて「この世界観しかない!」なんて思って作り始めるわけですが

作曲者のテヅカさんがどういう意味を込めたのか

他の人はこの曲にどういうイメージを持ったのか

気になるところです。

 

自分の場合は絵コンテのようなものは基本、用意しません。

制作を進めていくうちに「やっぱこうしたほうが良いな」となることがほとんどなので

絵コンテの意味を成さないんですよね...。

ただ、今回の「ニニ」に関しては試行錯誤が多かったので、設定やテーマ、絶対入れたい演出や関連するワードなどを忘れないようにテキストに箇条書きしたりしてます。

制作の順も人によって様々かと思いますが、自分は一番作りたいところ(真っ先に浮かんだところ)から作るタイプです。

「ニニ」は本殿シーン(でかい建物)、鳥居前シーン(目を開くところ)、最初の祠シーン、ラストシーン、絵巻シーン、サビ後半、サビ前半、という順番だったかな。

 

最初の祠シーンですね。

自前の空の写真を加工して、E3Dの地面とフラクタルノイズで群生した木々っぽく

パーティキュラーで紅葉と影

E3Dで祠を置いて、地面にフラクタルノイズのなんちゃって影

あとはパーティキュラーで手前の紅葉をもっさり。奥行き関係のため灯籠を別に配置。

という感じ。

紅葉パーティキュラーは奥行きや影の具合でレイヤーを分けているので

パーティキュラーのレイヤーだけで24くらいあります。無駄に。

ちなみに紅葉には微妙にドロップシャドウをかけてます。

遠近感や存在感が強調されるような気がしたので。

床に落ち葉が無い、落ち葉の影が無い、手前木の枝(幹)が無い。

わかります。

試行錯誤の結果"無いほうが良い"になりました。

地面に葉っぱを置いたり、シェイプで枝を作ってみたもののハリボテ感がすごい!

技術不足やら作業量の多さやらで妥協した部分です。

今回の処理の重さ1位

本殿シーンはほぼほぼE3D

情報量を増やせるかもと、うっすいフラクタルのモヤを入れてます。

使いまわしたり大量に複製する3Dオブジェクトは書き出しているのですが(下記画像)

E3Dのシンメトリー機能を使っている状態でOBJ書き出しをすると

面も反転されて穴ぼこになります。バグだよバグ!(決めつけ)

なので180度回転させたりして手動シンメトリーにして書き出してます。

そこまで手間じゃなくて良かったけど直し方あるんですかね。

絵巻シーン。サビの次に(思いつかなくて)苦戦した箇所。

後半の本殿や通路はE3DのレンダーオプションをDraftにして平面感を。

あらすじ説明にしては表現力が足りない。

サビ前

緩急が好きな自分にとっては一番の見所。

歩くモーションは自分の足を撮って参考にしてます。

やってることは本殿と大体一緒。

パーティキュラーのSpherical Fieldで女の子を避けるようにしてます。

色調整が面倒だったので、水面に反射してる女の子はE3D、元の方は平面で分けてます。

処理の重さ2位

サビ前半(札〜巫女の舞)

初期案とは全く違うものに。

傘の柄がちゃんと畳まれるようにするのが地味に面倒。

理想の見え方にするのが難しかったので、反射した太陽?を踏むカットの水面だけ

E3Dではなくタービュレントでそれっぽく。

彼岸花カットは苦し紛れの案だったけど思ったより良い感じで複雑な気分。

アニメーションが作れるなら少女が舞を踊る1カットで構成したかった。

サビ中盤

1年ごとの贄ということで、1年経っている感を出したかった結果がこれだよ。

儀式自体は秋の設定だけど冬から始まって秋で終わるのも微妙だし

花火で音合わせする案が出てしまったので仕方ない!

手抜き感があるのは否めないけど四季の流れが表現できてれば十分。

ここも初期案とは全然違う。

サビ後半

侵食表現として服を赤に染める案はあったけどそのままだと驚くほど似合わず

水面の反射をメインに置いたら「まぁこれなら...」となる。

赤に染める部分は初期案から変わらないけど、構図が全然違う。

パペットで服をなびかせたりもしたけどボツ。

サビ部分は今の形になるまでかなり時間がかかってます。

何にも思いつかないことほど地獄なことは無い。

思いついたけど技術的に実現が無理だったり、試作したらショボすぎたり

半月ぐらいは何にも浮かばなかったので、他の修正をしつつ(現実逃避)

思いついてからの作業自体は休日3日分ぐらい。

ラストシーン

サビのラストなのに廊下を戻ってくだけという結果。辛い。

ラストの彼岸花はパーティキュラーで作成。

(右画像)

シェイプで滑らかに育つアニメーションを作れる気がしない。

彼岸花からの一連の流れは上出来かな!(自画自賛)

 

長々書きましたが、各シーンは大体こんな感じです。

モチーフの少なさやシェイプの弱さ、構図が直線ばっかりと、苦手は全然克服できてないんですが、雰囲気や色味やイラストなど、新鮮味を感じてもらえる要素も取り入れられたんじゃないかなと思ってます。

すごい作品が他にもたくさんある中で

「ニニ」が誰かの好みに刺さってくれてれば嬉しいです。

 

おまけ:イラスト下書き

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